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【初冬の空に『五彩の虹』を抽いて】
―銀紙飛行機も参加して
「火の用心」の立体的宣伝陣―
12月1日
県消防協会主催の「防火デー」は一日全県下を通じて一斉に各種の催をして防火思想の普及につとめたが、横浜では午前九時を期して吉田橋際に市内全署が集合、警察部長の点検の後防火、並に救助の各作業を実演して放水試験を行ひ、午後からは百余台の自動車行進でサイレンの音も勇ましく防火宣伝を行つた。 (写真は放水の実況)
《解説》 「銀紙飛行機」とは大日本義勇飛行会が、全国の児童から集めたタバコの銀紙を売って得た資金で購入した飛行機「少年義勇号」のこと(10月19日項参照)。
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【羽子板も並べられて 街頭に歳末気分濃し】 ―五日からデパートで―
12月2日
羽子板が街頭に出ると暮の気分がいよいよ深くなる五日から各デパートを始め一斉に陳列を始めた。今年よりも一体に型の大きいのが流行るらしく、絵柄も東郷元帥やベーブ・ルース等変つたものが大分出て来た。 写真は 野沢屋にて
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【明朗市政の再建を期して】 ―大西内閣第一次大異動発表さる―
12月3日
横浜市再建の人事行政は局課の廃合其他の行政機構改革に次いで、四日電気水道両局長以下廿六名に亘る大異動が行はれた。 (写真は向つて右から前列 松前(勧業課長) 笠原(中区長) 大橋(電気局長) 林(監査課長) 宮原(神奈川区長) 堺田(鶴見区長) 杉山(瓦斯業務課長) 後列 本間(水道業務課長) 角田(監査課主事補) 齋藤(会計課同) 水島(社会課長) 石井(経理課主事補) 山崎(土木局工政課長) 杉山(勧業課主事補) 鷲巣(建築課長) 北林(電気業務課長) 芦田(保土ケ谷区長) 山田(教育主事) 綾瀬(教育課長)
《解説》 9月に横浜市に波及した横浜疑獄事件により、市の上層部は壊滅状態となった(9月12日項参照)。このため大西市長は行政機構を改革し、課長級の大異動を実施した。
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【例年より廿日も早く『初雪』の訪れ】 ―四日夜関東一帯に雪化粧―
12月4日
「冴えかへるけふの寒に降る雨も暮れていつしか雪になり」で、朝からポツポツ降り出した冷雨が夜に入つてからみぞれになり雪になつた。この雪は平年よりも廿日も早く関東一帯を白く染めた。気温もズツと下つて前年同日より三度低く、五日朝雪はあがつたが雲は依然垂れこめてゐる。 写真は 五日朝横浜公園にて
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【失業群の冬に温い触手】 ―暮の巷に工事開始―
12月5日
市が卅五万円を計上して八千の失業者の為め計画された冬期救済工事は、今年は東京川崎に此の事業がないので当地へ稼ぎに来ないとも限らないので、『本市に三ケ月以上居住し現在失業中の労働に堪へうるもと(ママ)』といふ条件の下に、五日から市内十七ケ所に於て受付登録をなし、採用者には写真付の労動(ママ)手帳を交付して救済の徹底を期すこととなつた。 (写真は登録の受付中央職業紹介所)
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【歳晩の忙しさを避けて 釣の『醍醐味』へ】
―暮の騒音も他所に悠々たる
「黙」のスポーツ―
12月6日
押し迫つた暮に之れは又ナント賑はふ釣堀であることか。冷い北風を藁囲ひで防ぎ、小春日の暖い陽を心ゆくまで浴びて趣味に浸る人々、こゝ川崎市外鹿島田の横浜市水産会養魚場では此の暮に益々盛況を見せてゐる。
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【ハリウツドの人気者 ヂンパンヂー氏博覧会へ】
―其他アメリカ・インデアンや
カウボーイ等が来ます―
12月7−8日
『ハロウ』と明春博覧会が始まるトタンにイトモ愛嬌のある顔をつき出して、「ニツポンの坊ツちやん嬢ちやん」にゴ挨拶をするキネマの都ハリウツドに其の名を知られたるヂンパンヂー(ママ)(類人猿)氏、当年八才、あちらの尋常一年生であるが、彼氏とて本場社交界の花形、食卓に付けばアメリカの小笠原流かなにかでホーク・ナイフの手さばきも鮮やかに、又食後には経(ママ)いラツキー・ストライクかなんかの煙を鼻から出して新聞を倒に見る、といつた様な「ターザン」も顔負けする類人ぶり、さて、引続いて玉乗り自転車の曲乗りを御に(ママ)入れます。 (写真は親友ブルドツク氏の頭の上にゴルフのボールを置いてまさにクラブ一振り天空高く擾飛ばさんとするヂンパンヂー(ママ)氏と同道して来る剽悍無比アメリカインデアンの一族及び投縄や馬の飛乗り等かつて日本で見られなかた(ママ)冒険をやるカウ・ボーイの一行)
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【『春の花なら掃部の桜』
サーサ、横浜よいところ!】
―鳴物が入つて復興博の宣伝
いよいよ本格的―
12月9日
かねて博覧会事務局が懸賞で全国より募集した博覧会宣伝歌のうち、一等当選の横浜小唄は大澤徳雄氏が作曲、花柳花輔さんが振付してゐるが、此れは同じく当選唱歌と共にレコードにも吹込み、児童にも教へる筈であるが、廿日から向ふ (ママ)ケ月間伊勢佐木町の横浜常設館で花輔師指導の下に八人のハマ美人が出演してステージより『復興音頭』の普及につとめることになつた。 (写真は復興音頭振付考案中の三味線の杵屋初枝さんと舞踊の花柳花輔さん)
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【可憐な「空の通信員」を欧米に紹介】 ―あちらでは珍しい ニユース用の伝書鳩―
12月10.11.12.13日
日本では各新聞通信社が近距離の記事急送用としていづれも伝書鳩を使用してゐるが、屡々米本国との往復に横浜に寄港する比島体育協会長、比島上院議長マニエル・ケーゾン氏は入港に際し、各新聞記者が港外にて検疫船と共に乗込み、同氏を始め各名士連のインタービウ並に写真を撮り直ちに携帯の伝書鳩に託して本社に送る状況を目撃し、又正午頃入港した場合直ちに上陸し電車にて東京駅に着けば早くも其の写真を掲載せる夕刊が発行されてゐる等の事実に感嘆し、之れを未だ使用してゐないニユウヨーク・サンフランシスコ等全米の各海事通信員連盟に紹介すべく、米国ダラー汽船会社横浜支店長タムスン氏を通じて希望を述べたのでは(ママ)、本社では伝書鳩の軍事上の重要性に鑑み一応考慮の上応諾し、十三日早朝入港のプレシデント・クーリツヂ号上に於て伝書鳩使用の実況を十数種の写真に撮影して。
写真は其の一部クエーゾン博士と本社鳩班の活躍、向つて右上より 一、横浜港外の入港船上で来朝の名士を撮影 二、直ちに暗室袋でヒルムを入れ換へて 三、鳩の背中又は足に装置して 四、本社に向けて放せば東京へ約十五分、横浜市内なれば三、四分にて帰社す
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【本場の『フラ・ダンス』を仕入れて
ベツテイ稲田嬢】 ―アメリカ生れの ジヤヅ・シンガーかへる―
12月14日
コロムビア専属ジヤヅシンガーベテイ稲田文子(22)さんは十三日入港の郵船浅間丸で帰朝したが、同嬢は昨年六月再渡米の上ハリウツドに滞在、フオツクス並にR.K.O.トーキーに籍を置いて映画を研究 更に帰途布哇に立寄りハワイアン・フラを習得、日本のステージから土人風俗の侭のフラ、ダンスで大いに悩まさうと云ふ魂胆。 (写真は浅間丸甲板にてイツトを発散させてゐるベテイ稲田さん)
《解説》 「イツト」とは女性的魅力のこと。
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【さて今年の暮の景気は?】 ―泣いても笑つても後旬日―
12月15日
一年間の帳尻を無理にも合せなければならぬ年の暮、それも余すところ十日許りになると、のつぴきならぬ歳末の緊張が街頭いたる所にあふれて来るから妙だ。そこで歳末の景気はどうかと言へば、重工業の隆盛か適面(ママ)に響いて上層と下層との懐が温く、中層のサラリーマン連はあまりパツトしないらしいが、とにかく暮は暮、自然お買物も多いわけで、これからの一週間が商人の最後の一戦といふところ。今の所大したこともないが、今年は尻つぱねが想像されてゐるだけにみんな手ぐすね引いてゐるわけ。 (写真は暮の街伊勢佐木町通にて)
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