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【弥栄の御代をたゝえて
       『菊』いままつさかり】
11月1日

風薫る野毛山の秋深し。 (写真は横浜市主催菊花大会にて)
【尊き師の恩に美はしき感謝】
―佐藤神奈川高女校長銅像の除幕式―  
11月2日

神奈川高女では二日午前十時より建学二十周年記念祝賀会に際して、かねて卒業生、在校生、附属小学校生徒等の拠金によつて佐藤校長の銅像除幕式を行つたが、来賓や生徒代表等の祝辞に次いで新旧職員に記念品を贈呈の後、感激の校歌をもつて盛んな除幕式を終へ一同祝賀展覧会を参観した。 (写真は銅像除まく(ママ)式と佐藤校長夫妻)

《解説》 神奈川高女は現県立横浜平沼高校。
【『ルネツサンス』の旗押立てゝ】
―高工記念祭に恒例の建築科大行進―
11月3日

横浜名物高工記念祭は第十四回を一日より各科生が珍奇を凝らして正午より全校を開放し大人気を博してゐるが、恒例の建築科生百余名の芸術行進は三日午後二時同校出発、『文芸復興』の緑の幟を真先きに、ルネツサンスの先駆者ダンテ・ラフエロ・レオナルドダンビツチ(ママ)等に扮して、軍鼓隊に足並揃へて伊勢佐木町を始め市内の目抜きの場所を練り歩いた。 (写真は伊勢佐木町を通る芸術行進)  

《解説》 横浜高工は現在の横浜国立大学工学部の前身。毎年11月上旬の記念祭では、仮装行列が弘明寺から出発して伊勢佐木町の通りを行進し、ハマの名物となっていた。同校建築学科で教鞭をとったのはパリのエコール・デ・ボザール(国立最高美術院)で学んだ中村順平。この芸術行進もボザールの芸術祭行進(バル・デ・ギャザール)に倣ったものだった。





【明春『花の横浜』に
       幸あれかしと祈つて!】
―『復興博』の序曲・大地鎮祭行はる―
11月3-4-5日

復興記念横浜大博覧会地鎮祭は五日午前十時より会場山下公園に於て大西会長、有吉協賛会長以下官民二千名参列、市神職会長北村社掌祭主となり厳かに進められ、二童女の苅初、穿初の式によりまづ建設の第一歩を大地に印し、かくて人像・鉄銭・鏡等の鎮物埋納の儀ありて後、玉串奉奠し終つて園遊会に移り、一同盛んな交歓を展開し、めでたく晴れの地鎮祭を終了した。 (写真は式場入口と大西会長の挨拶及び園遊会)

【アメリカ西部のボーイスカウト代表】
―マツキンレー号で七名来朝す―
11月6日

十二月廿九日から二週間豪州メルボン(ママ)市で開催される世界ボーイスカウト二百年記念祭に出席の米国西部の少年団員フランク・ヘンダーソン君等七名がP.マツキンレー号で来朝したが、同船が四号岸壁に着くや直ちに横浜少年団代表に迎へられて市役所並に米国領事館を訪問の後、正午サクラヤマ・ホテル食堂の午餐会にのぞみ、伊勢佐木町より野毛山公園に至り、菊花大会、震災記念館等見物して夕刻上京した。 (写真はマ号甲板にて一行)
【三本煙突の新版『みかん船』】
―M・ルシア号が今年の第一船―
11月7日

日本の蜜柑の海外輸出は年毎に増加して行くが、本年も各地の蜜柑はいづれも好調で、十日午後三時出帆のエムプレス・オブ・ルシア号で約四千箱をバンクーバーに向て積出したがこれが今年の第一船である。もう十日経てばこの三万噸の蜜柑船によつてカナダの果物やさんの店頭に日本のみかんが顔を現はすわけである。 (写真はルシア号でみかんの荷役)
【為替安の余波で
     酉の市の『おかめ』も高値】
11月8日

秋が更けて行くトタンにお酉様になり年末もすぐうしろから追つて来る月日の経つテンポのナント早いこか(ママ)、今年は十日が一の酉で、縁起ものゝ熊手は竹材や為替の干係(ママ)で染料が高いので例年よりも二割高値だが、景気直しに売れ行きも物凄く、夜十一時頃には売れ(ママ)切れの店も出来たといふからソウトウなものである。 (写真は一の酉の賑ひ真金町にて)
【花嫁候補者が子供になつて大はしやぎ】
―女青講習の景物晩秋のピクニツク―
11月10日

第四回女子青年指導者講習会では科外講習として十三日午前十時より程ヶ谷児童遊園地「青年の家」に於て研究座談会を開いたが、午後から今島氏指導の下に同園トラツクで遊戯をを(ママ)行つたが、脂粉の香も艶めかしい姫君達と講師たるおゑらい老女史の方々、あられもなく飛んだり跳ねたり、幼稚園、小学校程度の遊戯にまつたく子供に還つて大はしやぎで朗らかな半日を過ごした。 (写真は目陰しボール突きの壮観)
【満州国司法官の陪審裁判視察】
―開廷中の放火事件を聴く―
11月11日

我が国の司法制度を視察のため来朝中の北満特区高等検察庁長王肇勲氏以下一行七名は、十四日午前九時三十分来浜横浜地方裁判所を訪問、鬼頭所長、松井検事正の案内で庁内を見学、開廷中の陪審裁判を熱心に傍聴の後、正午会議室にて午餐をとり小田原に向ひ少年刑務所を視察して熱海に宿泊した。 (写真は一行と中央鬼頭所長裁判所屋上にて)
【人気の焦点!S.S.Kのスター
  『オリエ・津坂』近くヨコハマで公演】
11月12日

松竹少女歌劇の花形オリエ・津坂を初めとして其の他スター連は、本社後援の欠食児童救済舞踊会に出演する事となり目下その準備中であるが、期日は十二月中旬頃の予定である。 (写真は舞台のオリエ・坂津(ママ))


【けふ『七五三』のお祝ひに
         伊勢山大神宮賑ふ】
―曠れやかに着飾つて氏神様へ―
11月13日

十五日七五三のお祝ひに子供も親も曠れ衣オンパレードで氏神へお詣りする今年は、大した変り種もなく一体に安ちよくな洋装が多いと、大神宮の石段に陣取つてゐる各デパート等の店員の統計に現れてゐる。非常時も馴れて終つて厳しい陸海軍大将も数へる程しか見えなくなつた。 (写真は伊勢山神宮にて)



【日米のベスト・メンバーに
         ハマのフアン熱狂】
―球豪ホームラン連打して廿一対四―
11月14-15日


世界最強野球チームである全米野球団選抜チームとオール日本軍の東部日本に於ける最後の一戦は、十八日午後二時より横浜公園球場に開催、早朝より押寄せた数万のフアンは正午にはスタンド外野共に満員となり観集(ママ)の喝采裡に両軍シート、ノツクを終り先づ米軍守備につき村山助役の鮮やかな始球により日本先攻で開戦、二回目早くも巨人ルース待望の本塁打をカツ飛ばせば次いでエヴイレル、四回にゲーリツク、七回には又もやルースがオーバーヘインズ(ママ)、それからフオツクスと合計五本に井野川が最後のホームランを日本軍の為めに気を吐いたが、スコアは廿一対四で四時閉戦した。 (写真は横浜球場に於ける全米軍と本塁打王ルースの勇姿)

《解説》 読売新聞社の招きで11月2日に横浜港に上陸した大リーグオールスターチームは、函館から小倉まで日本各地でオール日本軍と対戦。18戦全勝し力の差を見せつけた。