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【待望の横浜美術展覧会開かる】
―年々向上する港都の芸術陣―  
10月16日

美術の秋を彩る第三回「横展」は十六日から二十二日まで興産館階上に開催き(ママ)れたが本年の搬入総数六百三十九点、内入選百七十三点に逵(ママ)し、新入選に十三才の高田少年を始め日本画にアムンゼンの姪ラウラ女史外数名の外人の顔ぶれも見え、又再入選に市電多田庶務課長等の異彩多く、年毎に向上するハマ美術界の飛躍を物語つてゐる。 (写真は会場にて右 市長賞「牧果」柳下善三郎作 左 実業賞「S子さん」松田幾子作)



【絶好のレース日和に
       『根岸』の人気沸騰す】
―廿日第一日から満員の盛況―  
10月17-18日

関東競馬のトツプを切つて横浜名物根岸競馬は清澄の気みつる絶好の競馬日和に恵まれ、更に人気馬の出場と程よき馬場のコンデイシヨンに愈々フアンを煽り立て、廿日第一日早くも人気は沸騰して一、二等も満員の賑ひで、こゝ当分は競馬マニアの心臓を高鳴らせるであらう。 (写真初日第一競馬と、厩舎を訪れて予想を聴くある競馬狂マダム)

《解説》 根岸競馬場の馬見所は昭和4年(1929)に再建、昭和9年に増築され、一等・二等あわせて1万6500人の大観衆を収容した。





【児童の誠心こめた銀紙で
       『少年義勇号』生れる】
―廿一日三機の進空式と
         飛行場落成式挙行―
10月19-20-21日

大日本義勇飛行会が全国児童から集めたタバコの銀紙一万四千貫に依つて購入した少年義勇号三機と、厚木の相模川畔に建設された義勇飛行場の披露祝賀会は、廿一日午前十時から賀陽宮邦寿王、治憲王両殿下御台臨の光栄に浴して、万国旗と紅白張幕に飾られた厚木全町に近郷より押しかけた三万の観集(ママ)と県下有力者並に飛行関係者等二千の来賓とで、さしもの飛行場も大半を埋められてしまつた。式は副会長奈良原男爵の開式の辞により義勇号三機の進空式を行ひ、高等飛行、落下傘降下等あり、終つて祝宴に移り会長野田男爵の挨拶あつて午後一時目出度く終了したが、この飛行場は厚木町の在郷軍人、青年団小学児童等の労力奉仕で出来上つたもので、現在すでに八名の少年航空士を養成中である。 (写真は左御台臨の賀陽宮両若宮殿下と義勇号の児童への感謝飛行、右は西山寿美子嬢のパラシユート)





【永に眠れ四勇士】
―横浜市の招魂祭に四柱を合祀―
10月22-23日

二十五日午前十一時から保土ヶ谷児童遊園地忠魂碑前で恒例の招魂祭を挙行した。斉主大西市長を初め市出身の戦病没軍人遺族五百余名、来賓として横山知事、市内各官公民代表、柳川第一師団長甲府連隊司令官、横須賀鎮守府参謀長、団体参加としては甲府連隊市出身現役兵二百余名、在郷軍人、青年団、専門中等小各学校学生生徒、児童、約三千名参列し、過般日支、満州事変で戦死した四勇士の合祀祭を行ひ、次で招魂祭に移り市長の祭文師団長その他の吊辞ありて正午終式した。余興として素人角力ありて、時ならぬ遊園地の賑ひを呈し、横須賀海軍飛行機は特に飛来して空より吊意を表して引上げた。 (写真は合祀祭と招魂祭)



【丹沢山歓声に響す】
―千古の森林眠より覚めて
     聖恩の県宝庫やがて開かん―
10月24-25日

千古の森林天然の宝庫・丹沢山は往年聖恩によりて神奈川県財政の逼迫せるを、御救恤の有難き御思召によつて県有林として御下賜になつたので、予て此の宏大無比の天恩を永久に記念せんものと記念碑建設中であつたが、漸く此の程竣工したので、愈々去る二十六日午前十一時から紅葉に彩られる東丹沢札掛地内の同記念碑前に於てその除幕式を挙行した。湯浅宮相代理、津村帝室林野局東京支局長、横山知事以下各部長、山県元本県知事、本県貴衆両院議員、三木・郷正副県会議長その他地方有力者の参列あり。湯浅宮相の雄筆と国府犀東氏の碑銘で異彩を放つ。次で林道竣工式を挙行し、木暮林務課長より工事報告を為し、各式辞祝辞ありて関係五ヶ町村よりなれる祝賀会に移り、宮瀬小学校にて祝宴を張り、地方有力者は来賓を貯本(ママ)場、製材場等に案内し、此日丹沢の全山は挙げて歓声を響す有様であつた。 (写真は記念碑と林道開通式)
【霊山すでに白雪を頂いて
          東海の天は清し】
10月26日

芦の湖々畔より望む富嶽。(錦秋の函嶺にて)


【実業教育の隆盛を祝して】
―五十周年記念日の歓び― 
10月27-28日

『実業教育五十周年神奈川県記念会』は本県実業教育の隆盛を祝福し将来の発展向上を期して、県下実業教育関係の官民有志を網羅して、卅日午後一時から開港記念会館に文部省菊地実業局長以下を迎へて盛大なる記念式を挙行、実業教育功労者七氏を横山知事より表彰し、夜は市内各実業学校学生々徒約五千名が参加し自動車、音楽隊を交へて大提灯行列を横浜公園より伊勢山大神宮まで長蛇の如き『火の大行進』を行つた。 (写真は表彰された渡邉たま子、唯野真琴、松浦吉松、秋山岩吉、石井伴七、安藤為次、福田縫太郎の七氏)
【逓相を迎へて感激の横浜郵便局】
―震災後十三年目で復興成る―  
10月29日

横浜郵便局は震災から十有余年公園の隅にバラツクのまゝ港都の復興に取り残されてゐたが、昨年六月より工費六十一万円を以て日本大通りの一角に工を起して十六ヶ月目の今日二十九日午前十時から本省より床次逓相を始め朝野の名士六百余名を招いて盛大な落成式を挙行したが、同局は鉄筋コンクリート四階建(一部六階)総延坪二、四五〇タイル張りの壮麗なるもので国際都市中枢局としてはづかしからぬものである。 (写真は同祝賀会場にて、右から横浜郵便局長、東京逓信局長、政務次官、逓相、本県知事)



【待望の復興博建設の第一歩へ】
―官民三千を招いて港頭の大地鎮祭―
10月30-31日

明春開催される横浜復興博覧会はすべての準備を順調に進めて、三十日には事務局を山下公園際の新庁舎に移転、本月五日いよいよ会場の地鎮祭を盛大に挙行することになり、事務局では加藤木事務長以下大童で当日の仕度に忙殺されてゐる。 (写真は博覧会正門の配景図と当日鍬入式に仮初の儀をつとめる童女篠崎和子、小宮博子さんの予習)