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旧東京三菱銀行横浜中央支店
(2001年撮影) |
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営業室装飾部材
(大和ハウス工業株式会社寄贈・当館所蔵) |
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昭和初期の本町通り
(当館所蔵絵葉書) |
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矢部又吉
(矢部文三氏寄贈・横浜開港資料館所蔵) |
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改修後の旧川崎銀行横浜支店
(2003年撮影) |
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旧東京三菱銀行の装飾部材 |
常設展示室内の「掘り出し物案内」は、当館の新収資料などを随時紹介していくコーナーです。開館にあたっては、2001年、銀行の移転にともなって解体された、本町通りの旧東京三菱銀行横浜中央支店の1階営業室に用いられていた装飾部材を紹介しています。
旧東京三菱銀行横浜中央支店は、1934(昭和9)年5月、川崎第百銀行横浜支店として本町4丁目41番地に建てられました。この時期、横浜の金融界の中心であった本町通りから馬車道にかけては、三井銀行横浜支店(現三井住友銀行横浜支店)や安田銀行横浜支店(旧富士銀行横浜支店)、第一銀行横浜支店(現横浜アイランドタワー)などが相次いで竣工し、古典主義様式の銀行建築が建ちならぶ特徴ある街並みを構成していました。旧東京三菱銀行も、外壁の堂々たるイオニア式オーダーが印象的な建物です。
設計者は、銀行建築の名手として知られる横浜出身の建築家矢部又吉(1888-1941)です。矢部は、川崎財閥の顧問建築家として、川崎銀行の建築を多く手がけました。横浜では、馬車道に残る旧川崎銀行横浜支店(現日本興亜馬車道ビル)に、彼が得意とした古典主義の細部を見ることができます。
旧東京三菱銀行が建てられた昭和初期には、装飾を抑えた「白い箱」形のモダニズム建築が登場する一方で、銀行建築にみられるように、従来の古典主義様式は成熟の時代を迎えます。この小さな装飾部材は、様式建築がもっとも輝いていた時代を伝える資料のひとつだといえるでしょう。
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(青木祐介) |
2003.7.15 |
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