出土したガス管
出土したガス管
明治10年頃の瓦斯局
明治10年頃の瓦斯局
(横浜開港資料館所蔵写真)
瓦斯局の建物配置
瓦斯局の建物配置
(明治14年刊行「横浜実測図」より)
接合部のイニシャル
接合部のイニシャル
国内最古のガス管

2002(平成14)年1月、中区花咲町にある市立本町小学校の校庭から、国内最古のガス管が出土しました。この場所は、日本で最初にガス事業を興した横浜瓦斯(ガス)会社(のちに横浜瓦斯局となる)の施設が建っていたところで、その創業時の遺構が見つかったのです。出土したのは、8インチ管(内径約20cm)と見られる2本の鋳鉄管でした。

ガス製造所をはじめとする各施設がこの場所に建設されたのは、1871(明治4)年のことです。写真右手に見える煙突をもった石造建築が製造所です。ここでつくられたガスは、円筒形のホルダー(ガス溜)で蓄えられたのち、地中の管を通して、横浜の街へと供給されていました。管の出土位置は、ちょうど製造所とホルダーとの中間地点にあたり、出土した2本の鋳鉄管は、ガスをホルダーに送る管とホルダーから街へと出て行く管だと思われます。

出土したガス管の接合部には、「R L & S」という陽刻がありました。これは、準備室ニュース2で紹介した、グラスゴーの「R.LAIDLAW & SON」社のイニシャルです。同社からは、製造所の建設時に資材を購入しており、その見積書のなかには、今回出土した8インチ鋳鉄管も明記されていました。したがって、このガス管は横浜瓦斯会社の創業時に輸入されたもの、すなわち「国内最古」のものであると言えるのです。

このガス管は、先に紹介したガス灯と同じく、横浜のガス事業の歴史を知る貴重な資料として、中庭に展示します。まちづくりにとって上下水道や電気・ガスといったライフラインの整備は、欠かせない要素です。横浜の都市形成を長いあいだ地面の下で支えてきた貴重な土木遺構が、文字どおり日の目を見ることになります。
2003.2.7