横浜居留地

横浜居留地
タイトル: 横浜居留地
年代: 明治末・大正前期
分類名: 山下町・中華街
分類番号: 007-07
備考: 本町通り60番地付近の外国人居留地。左端の建物はイギリス系の書店・出版社であるケリー&ウォルシュ社(Kelly&Walsh Limited)。その数軒奥の看板は薬品を販売していたブレット商会(Brett's Pharmacy)。道(本町通り)奥には山手の丘が見える。1907(明治40)〜1918(大正7)年刊。トンボヤ製。
大佛次郎の随筆より:
  「ケリ・アンド・ウォルシュの店は、外人たちのショッピング・ストリートになっていたその町の中ほどに、飾り窓の板ガラスを往来に向け、やはりガラスをはめたとびらを入口に閉めて、在った。
 大正の末年に近く洋書を売っていたのは、東京では日本橋の丸善、神田の中西屋だけだったころで、横浜にきて外人の経営している本屋に入るというのが何か特別のことをしているようで私など胸がおどった。ケリ・アンド・ウォルシュ——やはり金文字でガラスに書いてあったように思う。店のなかは、かなり広く、床のない土間だった。壁は本棚で一杯であった。入る時に私が期待したほど目ぼしい本は見つからなかった。私の記憶は、子供の本が多かったことと、動物のはめ画のようなオモチャを置いてあって、はなやかだったことである。それと贈答用とでもいったような美しい革表紙で箱入りの英語の詩集。」(大佛次郎「小書店」『大佛次郎随筆全集』第三巻、朝日新聞社)