横浜桟橋ノ景

横浜桟橋ノ景
タイトル: 横浜桟橋ノ景
年代: 明治末・大正期
分類名: 大さん橋・新港ふ頭
分類番号: 002-19
当時の新聞より(明治時代後期の大桟橋):
  「「書生さん……乗つてツて呉れませんか……」
 リキシヤマン君はヨク頼んだものだ。それは彼らの簡単なトリツクであつた。空車を引いて桟橋へ入る事は許されなかったから、彼等は誰か気軽な人間を物色しては仕事の豊富な桟橋へゆくべく税関の門を潜る口実を得やうとした。(中略)その頃の桟橋は木造であつた。陸に近い半分は横に木が渡してあつた。だから歯のある下駄では一寸以上もある隙間へ歯が落ち相でボンヤリ歩かれなかつた。海へ出た他の半分は縦に流れてゐたので比較的歩きよかつた。
 桟橋へ繋留する船は大概ジヤマンメールやフランスメールであつた。これ等は一万噸近い巨い船で郵船など一隻も所有せぬ様な優秀船であつた。大して古い事ではない日露戦争前後の話である。」(「浜のゑがほ」『横浜貿易新報』1927年11月17日)
備考: 左の建物は1893(明治26)年完成の横浜税関監視部(関東大震災で倒壊全焼)。絵葉書の表面の形状から1907〜1918(大正7)年の刊行。